創作板金屋では、主にアイアン(鉄)、ステンレス、銅、アルミ、真鍮などの素材を使った家具や小物などの金物加工を行っています。
オーダーメイドやカスタムメイドで製作している家具や小物で取り扱っている素材別に、それぞれの「家具の魅力」「日常のお手入れ方法」「さびが発生した場合の対処法」について説明します。
- オーダーメイド:何もない状態からデザインや素材などそのすべてを自らの意思で決定してオリジナルで制作した製品
- カスタムメイド:既製品の一部のデザインや内容を変更して制作した製品
【アイアン(鉄)家具】魅力とお手入れ方法
鉄家具とは、鉄を伸ばす・曲げる・たたくなどの加工によってつくられた家具を指し、アイアン家具ともよばれます。
鉄家具の一般的なお手入れ方法について説明します。
アイアン家具の魅力
アイアン(鉄)家具の多くは職人の手作業でつくられるため、一つひとつの風合いが異なるという魅力があります。
アイアン家具で用いられる鉄には、以下のような特徴があります。
- さびる
- 加工しやすい
- 磁石がくっつく
- 強度が高く耐久性がある
アイアン家具の特徴のひとつに挙げられているように、防さび加工が施されていない鉄家具は、湿気や汚れによってさびてしまいます。
アイアン家具をさびさせたくない場合は、防さび加工を行い、湿気や汚れを防ぐなどの対策や、日々のお手入れが必要です。
一方で、鉄は年月が経つにつれて素材の質感が変化していくため、独特な風合いを長い間楽しめる点が、アイアン家具の魅力のひとつです。
また、アイアン家具に対して、さび加工を施すことにより、ヴィンテージな雰囲気が漂う武骨な家具になります。
【アイアン家具】お手入れにあると便利な道具
アイアン家具の日々のお手入れに、「あると便利な道具」を以下の表にしました。
道具 | 備考 |
布 | 柔らかく、繊維がつかないもの |
掃除用モップ | 柔らかいものであればどれでもよい |
防さびスプレー | ホームセンターなどで購入できる |
不織布研磨シート | 金属のさびや、木工製品の汚れを研磨できる |
日常的なお手入れには、布・掃除用モップでから拭きすることで、鉄家具をきれいなまま長持ちさせられます。
購入時に防さびスプレーを吹きかけることで、鉄家具がさびるスピードを遅くできます。
不織布研磨シートは、アイアン家具のさびが気になるときに使います。
自宅でアイアン家具をインテリアにしている人は、上記で紹介した道具を常備しておくとよいでしょう。
【アイアン家具】日常のお手入れ方法
アイアン家具は、日頃から乾いた柔らかい布で表面をふき取ることで、長持ちします。
お手入れの際に使う布は、なるべく鉄家具に繊維がつかないものを選択しましょう。
乾いた布でふき取っても落ちない汚れがある場合は、中性洗剤を用います。
柔らかい布に中性洗剤を付けて、鉄家具に付いている汚れを落としてから水拭きし、最後にから拭きすることで落としやすくなります。
から拭きの後に、市販の防さびスプレーを吹きかけることで、鉄家具をよりきれいな状態で長持ちさせられます。
また、冒頭の「鉄家具の魅力」の鉄の特徴として述べたとおり、鉄は湿気に弱く、長時間濡れているとすぐにさびてしまいます。
鉄家具が濡れてしまった際は、すぐに水気をふき取り、よく乾燥させましょう。
とくに、傘立てのような濡れやすい鉄家具は、濡れた後によく乾燥させることが重要です。
傘立ての底に水が溜まったままにならないよう、注意しましょう。
【アイアン家具】さび発生時のお手入れ方法
さびてしまったアイアン家具のお手入れ方法を紹介します。
まず、乾いた布や掃除用モップを使って、さび回りの汚れを落とします。
つぎに、不織布研磨シートを使って、丁寧にさびを削ります。
このとき、すべてのさびを取りきらなければ、さびが広がる原因となるため、注意が必要です。
さびを削り終えたあと、最後に防さびスプレーを吹きかけて乾燥させましょう。
日常的なお手入れを心がけることで、鉄家具の良さが長持ちします。
【ステンレス製家具】魅力とお手入れ方法
ステンレス製家具は、強度と耐食性が高いことや、清潔を保てる面から、水回り・衛生管理が求められる場面で使われています。
ステンレス製家具の一般的なお手入れ方法について説明します。
ステンレス製家具の魅力
ステンレスは、英語で『Stainless』と表記します。
日本語に訳すと「さびない」という意味ですが、厳密にいうとさびにくい金属です。
ステンレスでできた家具は、無機質な風合いが魅力的です。
金属らしい冷たさを感じられるため、部屋にステンレス製家具を配置することで、スタイリッシュな雰囲気の部屋を演出できます。
ステンレスには、以下の特徴があります。
- さびにくい
- 加工しやすい
- 耐熱性・強度に優れている
ステンレスは、鉄を主成分(50%以上)として、クロムを10.5%含んでいる合金です。
含まれているクロムによって、表面に「不動態皮膜」という薄い膜がつくられ、さびの発生を防いでいます。
ステンレスはお手入れが簡単で、さびにくい特徴を活かし、台所や水回りに重宝されている金属です。
具体的には、台所のシンクや、バスルームでシャンプーなどを収納するシャンプーラックなどが挙げられます。
ほかには、傘立てやダイニングテーブル、物干し竿などの濡れる頻度が高い家具にも適しています。
また、アルコールなどを吹き付けても傷まないため、消毒やお手入れしやすい面があります。
そのため、清潔を保ちすく、医療現場や調理関係の家具や器具にも使われています。
しかし、冒頭で述べたとおり、ステンレスは名前の由来とは異なり、「絶対にさびない金属」ではありません。
鉄以上の耐食性はありますが、使われる環境や使い方によってさびることがあります。
適切なお手入れ方法を知り、ステンレス本来の輝きを保ちましょう。
【ステンレス製家具】のお手入れにあると便利な道具
ステンレス製家具のお手入れに、持っておくと便利な道具を紹介します。
道具 | 備考 |
布 | 柔らかく、繊維がつかないもの |
掃除用モップ | 柔らかいものであればどれでもよい |
ゴム手袋 | 掃除の際に汚れてもよいもの |
マスク | 薬剤を使用する際に必要 |
水で薄めた無水エタノール | 無水エタノール90mlを、水110mlで薄めたもの |
中性洗剤 | 台所用洗剤でよい |
ステンレス用クレンザー | ホームセンターなどで購入できる |
無水エタノールやステンレス用クレンザー以外は、身の回りで調達できます。
上記の道具を使い、ステンレスの輝きを維持するために定期的にお手入れをしましょう。
【ステンレス製家具】日常のお手入れ方法
ステンレス製家具の、日常のお手入れ方法を解説します。
まず、布や掃除用モップで家具表面のほこりを除去します。
つぎに、無水エタノール90mlを水110mlで薄めた液を布に含ませ、指紋や汚れを拭き取ります。
最後に、から拭きしたらお手入れ完了です。
無水エタノールは高濃度のアルコールです。
使用する際は、火気に注意し、換気を十分に行いながらマスクをしてお手入れをしましょう。
肌に無水エタノールが付着すると、瞬時に水分を奪って蒸発します。
手荒れを防ぐために、無水エタノールの使用時は素手でなく、ゴム手袋を必ず着用してください。
【ステンレス製家具】さびが発生した時のお手入れ方法
さびが生じた場合は、中性洗剤を含ませた布で優しくさび部分をこすり、水で洗剤をよく落とします。
その後、乾いた布で水分を拭き取ってください。
さびが落ちにくい場合は、市販のステンレス用クレンザーを布に含ませ、傷がつかないようにこすりましょう。
こすり終えたらクレンザーを水でよく落とし、から拭きします。
クレンザーを使用する際は、注意事項を確認のうえ使用しましょう。
さびを除去することで、ステンレス製家具の輝きがよみがえります。
【アルミ製家具】魅力とお手入れ方法
アルミ製家具は、丈夫で軽量な金属であるアルミニウムを加工してつくられています。
アルミ製家具の一般的なお手入れ方法について説明します。
アルミ製家具の魅力
アルミ(アルミニウム)は、「ボーキサイト」という赤茶色の鉱石を原料にしてつくられる金属です。
ボーキサイトを加工してつくった「アルミナ」という粉を電気分解し、酸素を除去することでアルミニウムができます。
アルミには、以下の特徴があります。
- ほかの金属に比べ軽い
- 純度が高いほど耐食性に優れる
- 低温状態でも強度に優れる
- 耐食性が高くさびにくい
- 光や熱を反射する
- リサイクルできる
- 電気をよく通す
- 熱伝導率が高い
- 毒性がない
鉄の比重が7.8なのに対し、アルミニウムの比重は2.7と非常に軽い点が、最大の特徴です。
比重とは、ある物質の密度と、4℃の水の密度との比のことをいいます。
比重が1より大きい物質は水に沈み、1より小さい物質は水に浮かびます。
アルミは、軽量でありながら強度があるため、家具によく使われます。
頑丈さを活かして、テーブルや椅子の支柱、ランプシェードなどの家具に使われています。
また、大切な中身を守りたい際に使うアルミカードケースやアルミトランクケースは、強度と軽さを兼ね備えているため、持ち運びに最適な素材です。
また、アルミ製家具は屋外やバスルームなどの水回りでもさびにくいことから、家の中の置き場所を選びません。
雨風にさらされる郵便ポストや、洗濯物をいれるワイヤーバスケットなど、アルミ家具は湿気が多く水に濡れる場所であっても重宝されています。
鈍い輝きを放つアルミ製家具は、金属でありながら温かみを感じられる魅力がある家具です。
【アルミ製家具】お手入れにあると便利な道具
アルミ製家具のお手入れに、あると便利な道具を表にまとめました。
道具 | 備考 |
布 | 柔らかく、繊維がつかないもの |
掃除用ブラシ | 毛質が柔らかいもの |
中性洗剤 | 台所用洗剤でよい |
紙やすり | 400番程度の、目の細かいもの |
アルミ製家具をお手入れする際は、傷がつかないような柔らかいものを中心に道具を選びましょう。
とくに、さびを落とす際に使う紙やすりは、400番程度の粗さのものが最適です。
【アルミ製家具】日常のお手入れ方法
汚れが軽い場合は、掃除用ブラシでほこりを払い、水で濡らした布で拭いた後、から拭きしてください。
汚れが目立つ場合は、中性洗剤を水で薄めたもので汚れを落とし、水でよく洗い流した後に、から拭きします。
【アルミ製家具】さびが発生した場合のお手入れ方法
さびが発生した場合、中性洗剤をつけながら400番程度の目が細かい紙やすりで、さびを取り除きます。
その後、水でよく洗い流してから、から拭きしてください。
【銅製家具】魅力とお手入れ方法
銅製家具は、時間をかけて色が変化していく様子を楽しめます。
銅には抗菌作用があるため、ドアノブや手すりなど、人の手に触れる部分によく使われています。
銅製家具の一般的なお手入れ方法について説明します。
銅製家具の魅力
銅には、以下のような特徴があります。
- 毒性がない
- 加工しやすい
- 熱伝導率が高い
- 電気を通す
- 耐食性に優れる
- 抗菌作用がある
- 表面の色が経年変化する
銅は、人類が初めて手にした金属で、紀元前7,000~8,000年頃から、人の暮らしに関わってきました。
日本では、約2,000年前の弥生時代から、祭具・武器・貨幣の素材として使われてきました。
現在でも、1円玉以外の硬貨はすべて銅が使われています。
銅には高い抗菌作用があるため、不特定多数の人が使う硬貨の素材にすることで清潔を保っています。
この抗菌作用を活かし、ドアノブや手すり、タンスの引き出しなど、人の手が触れる部分に銅を用いるとよいでしょう。
また、銅は空気に触れると「表面酸化」が起こり、時間をかけて赤褐色から緑青色に変化していきます。
この色の変化を楽しめる点も、銅製家具の魅力です。
具体的には、ランプシェードやシャンデリアなどの照明器具や、リラックス目的のお香立てや香皿を銅製にすることで、金属らしい高級感とともに温かみを感じられます。
とくに、暗い色合いの部屋に銅製家具を配置すると、重厚感ある空間を演出できます。
【銅製家具】お手入れにあると便利な道具
銅製家具のお手入れに、あると便利な道具を表にしました。
道具 | 備考 |
布 | 柔らかく、繊維がつかないもの |
歯ブラシ | 使い古しでよい |
重曹ペースト | 重曹と水を混ぜ、歯磨き粉ほどの硬さのペースト状にしたもの |
上記の道具を使って、日頃から銅製家具のお手入れをしましょう。
銅製家具のお手入れをすることで、銅特有の輝きを保ちながら長く使えます。
【銅製家具】日常のお手入れ方法
銅は、緑青(ろくしょう)というさびが発生します。
緑青は、主に水分や皮脂に反応して発生するため、日常的にお手入れをして緑青を抑制しましょう。
日常のお手入れでは、柔らかい布で汚れや水分、皮脂を落とすように拭きます。
また、湿気が多い場所では緑青が発生しやすくなるため、頻繁に換気するなどして対策しましょう。
【銅製家具】さび(緑青)が発生した場合のお手入れ方法
緑青を除去する方法を紹介します。
- 重曹と水を混ぜ、歯磨き粉程度の硬さのペーストをつくる
- 重曹ペーストを緑青部分に塗り、使い古しの歯ブラシを使って磨き落とす
- 緑青が落ちたら水拭きし、重曹や水分が残らないようにから拭きして乾燥させる
緑青は、放置すると家具全体に広がっていきます。
銅が緑青色に変わっていく変化を楽しみたい人は、下記の取扱いを注意したうえで、緑青を除去せずに残しておくこともひとつの方法です。
緑青色に変化した銅は、ヴィンテージ感が漂う家具となりますが、よく使う場所に銅製家具を置いていると、服やほかの家具に緑青が付着してしまう場合があるため、注意が必要です。
銅の特徴をうまく活用して、家具のヴィンテージ感を楽しみましょう。
【真鍮製家具】魅力とお手入れ方法
真鍮(しんちゅう)とは、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金のことです。
生活の身近なところでは、5円玉に使われており、別名『黄銅』ともよばれています。
真鍮製家具の魅力と、家具を長持ちさせるための日常のお手入れ方法、さらに万が一さびが発生した場合の対処法について説明します。
真鍮製家具の魅力
真鍮は、英語では『Brass』と書きます。
真鍮でつくられたトランペットなどの金管楽器による楽団を「ブラスバンド」とよぶのは、英語名が由来です。
真鍮の素材と相性が良い代表的な家具には、アンティークが挙げられます。
ほかには、真鍮が使われているガラスや灯具などがあります。
また、照明アイテムやカーテンレールやふさ掛け、ドアの鍵まわりにとりつける装飾用の金具『エスカッション』にも用いられています。
真鍮製のパーツなら、アンティーク家具を購入したのち金具が外れてしまった場合でも、デザインを統一させやすいためおすすめです。
真鍮には、以下のような特徴があります。
- 毒性がない
- 強度がある
- 加工しやすい
- 耐食性が高い
- 金や銀に比べて安価である
真鍮製家具の魅力は、酸化によってアンティーク感が漂う質感になる点です。
酸化によって美しい黄金色から、くすみや黒ずみが上品な金色になります。
また、酸化によって色が変化していく様子を楽しむことや、お手入れによってきれいな状態に戻すこともできる点も、魅力のひとつです。
真鍮製家具のお手入れを正しく行うことで、美しさを長持ちさせられます。
【真鍮製家具】お手入れにあると便利な道具
真鍮製家具をお手入れする際に、あると便利な道具を以下の表にまとめました。
以下の掃除道具があることで、ほこりを払うなどの日常の掃除はもちろん、さびが発生した場合にも重宝します。
道具 | 備考 |
布 | 柔らかく、繊維がつかないもの |
歯ブラシ | 使い古しでよい |
重曹ペースト | 重曹を水と混ぜ、歯磨き粉ほどの硬さのペースト状にしたもの |
真鍮製家具を購入する際は、お手入れ道具も同時に準備するとよいでしょう。
【真鍮製家具】日常のお手入れ方法
真鍮は主成分が銅であるため、さびの一種である緑青(ろくしょう)が発生します。
日常的に、柔らかい布で汚れや水分、皮脂を落とすように拭くことで緑青の発生を予防できます。
また、湿気が多い場所では真鍮に緑青が発生しやすいため、頻繁に換気しましょう。
【真鍮製家具】さび(緑青)が発生した場合のお手入れ方法
緑青は、放置していると真鍮製家具全体に広がっていきます。
そのため、ヴィンテージ感を楽しみたい人は、緑青を残したままにするのもよいでしょう。
対して、真鍮の緑青を取り除きたい場合は、次の方法で緑青を除去します。
- 重曹と水を混ぜ、歯磨き粉程度の硬さの重曹ペーストをつくる
- つくった重曹ペーストを緑青部分に塗り、歯ブラシで磨き落とす
- 緑青が落ちたら水拭きをし、重曹や水分が残らないようにから拭きして乾燥させる
手順に沿って緑青を除去した真鍮製家具は、もとの美しい金色の輝きを取り戻します。
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